チェコの政治家・経済界の代表など約150人からなる訪問団が、3月25日から台湾を訪問した。計画される台湾の対チェコ投資を確実なものとし、半導体分野における提携を強化する狙い。同時に、自由や民主主義といった価値を共有する両国の結びつきをアピールする強い政治的な意味合いもある。
台湾政府はすでに、チェコの先端技術開発分野に3,300万米ドルを投資する計画を打ち出している。訪問団を率いるマルケータ・ペカロヴァー・アダモヴァー下院議長(TOP09)は、同計画の推進を確実なものとするとともに、台湾における半導体開発センターの共同設立に向けて計画の具体化を図っているもようだ。同センターは、チェコの科学者や技術者が台湾の技術を学ぶ機会を提供することになっている。
今回の訪問には強い政治的意味合いもある。アダモヴァー議長は、チェコと台湾の「友好関係は、平和・民主主義・人権という価値観に基づく。これらの共通の価値観を守り、存続させるために全力を尽くさねばならない」と話した。台湾の蔡英文総統も「(中国からの)強い圧力のなかの訪問」を歓迎。両国が「権威主義の支配を体験し、民主主義が容易には獲得できないことも身をもって理解している。だからこそ、堅固なパートナーシップを築き、民主主義と平和の存続につながる道をともに歩いて行ける」と関係の維持・強化に自信を示した。
中国は台湾を自国の一部とみなし、公に台湾と「友好的」関係を築きつつあるチェコを強く非難している。多くの国は中国との関係悪化を恐れて、台湾高官との会談を避けているが、チェコは例外だ。先ごろもペトル・パヴェル新大統領が台湾の蔡英文総統に電話をかけ、中国の怒りを買っている。