欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2023/6/26

EU情報

EU加盟に向けたウクライナの改革、7条件のうち2つクリア

この記事の要約

欧州委員会は22日、ウクライナのEU加盟に向けた改革の進捗状況について、加盟交渉を開始するための7つの条件のうち、2つを満たしているものの、汚職対策やマイノリティの権利保護など5つの分野でさらなる取り組みが必要との見解を […]

欧州委員会は22日、ウクライナのEU加盟に向けた改革の進捗状況について、加盟交渉を開始するための7つの条件のうち、2つを満たしているものの、汚職対策やマイノリティの権利保護など5つの分野でさらなる取り組みが必要との見解を明らかにした。ウクライナは2023年中の交渉開始を求めており、欧州委は10月に正式な報告書をまとめる方針を示している。

ウクライナはロシアが同国への軍事侵攻を開始した直後の昨年2月28日にEUへの加盟を申請した。欧州委は同年6月にウクライナとモルドバ(同年3月に加盟申請)を加盟候補国として認めるよう加盟国に勧告。EUは同月末のEU首脳会議で両国を全会一致で加盟候補国として認定した。

ただ、加盟交渉では35の分野で個別の協議を進める必要があり、実際の加盟までは10年前後を要するのが一般的。欧州委はウクライナを加盟候補国として認定するよう勧告した際、加盟交渉を開始するための条件として、司法改革や汚職対策など7項目を挙げた。

欧州委のヴァールヘイ委員(近隣政策・拡大交渉担当)はEU議長国スウェーデンの首都ストックホルムで開かれた非公式閣僚理事会で、EU加盟に向けた加盟候補国の取り組みについて報告を行った。同氏はウクライナについて「ロシアからの攻撃が続く中で着実に成果を上げている」と評価。7つの条件のうち、2つの司法機関の改革とメディア関連法の整備についてはEU基準を満たしているとの見解を明らかにした。一方、憲法裁判所の改革、汚職対策、マネーロンダリング(資金洗浄)対策、オリガルヒの影響力を削ぐための措置、マイノリティの権利保護に関しては一段の取り組みが必要と指摘した。

ウクライナのステファニシナ副首相(欧州統合担当)は同国メディアとのインタビューで、欧州委の評価には何の驚きもないとコメントし、10月の最終報告で肯定的な評価を得るため必要な取り組みを全力で進めると述べた。

一方、ヴァールヘイ氏は同じく加盟候補国のモルドバと、認定を保留したジョージアについても改革の進捗状況を報告。現時点ではモルドバは9項目のうち3つ、ジョージアは12項目のうち3つの条件を満たしているとの見解を明らかにした。