EU加盟国は17日開いた大使級会合で、ウクライナ情勢を受けて発動したロシアに対する経済制裁を来年1月末まで6カ月延長することで基本合意した。22日の外相会合で正式決定される見通し。一部の加盟国からは制裁延長に慎重な意見も出ていたが、ウクライナ和平の実現に向けてロシア政府に対する圧力を強める。
EUは3月の首脳会議で、2月に成立したウクライナ東部での停戦合意をロシアが完全に履行するまで制裁を解除しないことで一致している。停戦合意はウクライナ政府による国境管理の回復期限を今年末と定めているが、今月に入り、新ロシア派武装勢力とウクライナ政府軍の戦闘が再び激化している。昨年8月に1年間の期限付きで発動した経済制裁が7月末に失効することから、延長の方針を固めた。
延長で合意した制裁措置は、ロシア向け武器輸出の禁止、政府系金融機関に対する融資の禁止、エネルギー分野での技術供与の制限など。一部から追加制裁を求める意見も出たが、当面は従来からの制裁が維持される見通しだ。なお、EUはウクライナの主権や領土の侵害に関与した個人や企業・組織を対象に、資産凍結やEU域内への渡航禁止の制裁措置も実施しているが、こちらは9月15日が期限となっており、延長するかどうかは別途検討することになる。
今回の決定を受け、ロシア側はEUからの食品の輸入禁止措置を延長する方向で調整を進めている。ペスコフ大統領報道官は17日、ロシア通信(RIA)の取材に対し「相互主義の原則」に基づいて対応を検討すると発言。EUに対する報復措置として食品の禁輸延長を示唆した。