欧州委員会は18日、ドイツが導入を決めた国内高速道路の乗用車の通行に課金する制度がEU法に違反するとして、同国政府に警告を行った。これを受けてドイツ政府は予定していた来年1月からの導入を先送りする。
「Pkwマウト」と呼ばれる同制度は、道路インフラ整備の財源確保を強化する目的で導入されるもの。乗用車の保有者に道路利用券を事前に購入することを求める。料金は年最大130ユーロで、車両のエンジン排気量および排出ガス量によって変動する。8日に関連法案が可決され、2016年1月に施行されることになっていた。
欧州委が問題視しているのは、ドイツで登録されている車両が自動車税の減税によって負担が相殺され、実質的に国外の車両に限って課金する制度設計となっている点。さらに料金も高いと指摘し、同制度は他の加盟国の市民を不当に差別することを禁じるEU法に違反するとして法的手続きに乗り出した。
独政府は2カ月以内に欧州委が指摘した問題点について回答することを求められる。欧州委は回答が不十分で、ドイツが見直しにも応じなければ制裁手続きに着手することになる。
ドイツのアレクサンダー・ドブリント交通相は独ビルト紙に対して、同制度はEU法に抵触しないとの見方を示しながらも、合法性をめぐる問題が決着するまで課金実施を見送る意向を表明した。