EUが世界貿易機関(WTO)から協定違反と認定された中国製留め具に対する反ダンピング措置を是正していないとして中国政府が提訴した問題で、WTOの上訴委員会は18日、中国側の主張を認める裁定を下した。これによって同紛争でのEUの敗訴が確定した。
EUは2009年1月、中国の留め具メーカーが家具、建築など幅広い分野で使われる金属製のねじ、ボルトといった留め具を不当な廉価で輸出し、域内業界に打撃を与えているとして、26.5~85%に上る反ダンピング関税の適用を開始した。
これに反発した中国政府は、WTOのルールに反する不当な措置として、同年7月に提訴。WTOの紛争処理小委員会(パネル)は2010年12月、EUのダンピング措置を協定違反とする裁定を下した。域内業界の「大部分」が中国のダンピングで打撃を受けたというEUの主張が退けられたほか、反ダンピング税の算定に際してダンピングを国策として一括で扱い、各企業の状況を考慮しなかったのは不当する中国側の言い分が認められた。
EUの欧州委員会は同裁定を不服として上訴したが、11年7月に敗訴が確定し、WTOの勧告に基づいて反ダンピング措置を是正することを求められた。これを受けてEUは中国と是正措置を講じることで合意したが、中国側は同措置を不十分として12年に再提訴に踏み切っていた。
WTOのパネルは昨年8月、中国の主張を認めてEUの是正措置は不十分とする裁定を下した。EUは上訴したが、決定が覆ることはなかった。中国政府は勝訴確定を受けて発表した声明で、EUにWTOの裁定に沿った是正措置を講じるよう要求。これにEUが応じない場合は、補償請求の手続きに着手すると警告した。