欧州議会は20日の本会議で、EU域内で販売されるベビーフードの糖類含有量に関する規制案に反対する決議を賛成多数で採択した。世界保健機関(WHO)の勧告を大幅に上回る糖類の含有を認める新ルールが導入された場合、社会問題化している子どもの肥満を助長するとして、欧州委員会の提案を拒否したかたち。欧州議会の決議を受け、欧州委は入手可能な科学的データを精査したうえで規制案の見直しを進めることになる。
WHOは成人および児童の1日当たりの遊離糖類(ブドウ糖などの単糖類および砂糖などの二糖類)摂取量について、エネルギー総摂取量の10%未満に抑えるよう勧告している。また、この割合を5%まで減らして1日25グラム程度に抑えれば、さらに健康効果が増大するとしており、糖類の摂取量を減らすことで肥満や虫歯などのリスクが低減することを裏付けるデータも公表されている。
これに対し、欧州委がまとめた規制案によると、域内で販売される乳児用食品は引き続き、エネルギー総摂取量の最大30%に相当する糖類(100キロカロリーにつき7.5グラム)の含有が認められる。このため欧州議会では「科学的根拠に基づくWHOやEU加盟国の研究機関の勧告や助言に逆行する」との懸念が広がり、欧州緑グループ・欧州自由同盟(EFA)の議員が欧州委の提案を拒否する決議案を提出していた。
採択された決議は糖類含有量の制限に加え、WHOが生後6カ月まで母乳による育児を推奨している点を踏まえ、ベビーフードが生後6カ月未満の乳児への使用に適していない旨のラベル表示をメーカーに義務づけるよう求めている。