ギリシャのピレウス港、中国企業が買収

ギリシャの国有資産売却を進める政府機関の資産開発基金(HRADF)は20日、国内最大の港湾であるピレウス港を運営する国営企業OLPを中国海運大手の中国遠洋運輸集団に売却することを決めたと発表した。売却額は3億6,850万ユーロ。チプラス政権下で2件目の民営化となる。

中国遠洋はOLPの株式67%を取得する。1株当たりの買い取り価格は、22日の終値を69.8%上回る22ユーロとなる。

債務危機に陥ったギリシャ政府は、2010年から12年にかけてEUと国際通貨基金(IMF)から総額2,400億ユーロの緊急金融支援を取り付けた際、条件として国有資産の民営化を約束した。昨年1月に発足したチプラス政権は民営化に消極的だったが、第3次金融支援を受ける見返りに、民営化手続きを進めることを求められている。

OLPの民営化入札をめぐっては、すでにピレウス港の主要コンテナターミナルの運営権を保有している中国遠洋だけが応札したが、買収額が2億9,310万ユーロとギリシャ政府の想定を下回ったため、協議が行われていた。中国遠洋は最終的に買収額を引き上げたほか、同港に10年間で3億5,000万ドルを超える投資を行うことなどを約束し、HRADFの同意を取り付けた。

株式売却は2段階で実施され、中国遠洋は当初51%を受け取る。残る16%の売買は、投資の実行を確認した上で、2021年1月に完了させる。

ギリシャ政府は昨年8月、地方の14空港の運営権をドイツの空港運営会社フラポートに12億3,000万ユーロで売却することを決定。これが現政権下で決まった唯一の民営化案件となっていた。

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