ギリシャ難民滞留で緊急措置、7億ユーロの人道支援へ

欧州委員会は2日、中東や北アフリカから流入する難民や移民への対応に苦慮するギリシャなどの負担を軽減するため、域内に滞留する難民らへの人道支援を目的に、今後3年間で計7億ユーロを拠出する緊急支援策を提案した。EUは国際的な人道支援を積極的に行っているが、難民危機に対処するため域内でもEU主導で大規模な支援に乗り出す。

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、欧州には現在も1日平均2,000人を超す難民や移民が押し寄せており、この2カ月でシリアなどから13万人以上が域内に流入した。その多くはトルコからエーゲ海を渡ってギリシャに入り、バルカン半島を北上して最終目的地のドイツなどを目指すが、移動ルートにあたるバルカン諸国やオーストリアなどが自国への流入を抑制するため、相次いで入国制限を実施したり、国境管理を強化。その結果、ギリシャ国内には行き場を失った少なくとも2万4,000人の難民らが滞留し、避難所や食料の不足が深刻化している。

欧州委の提案によると、緊急支援措置は2016年に3億ユーロ、17年と18年にそれぞれ2億ユーロをEU予算から拠出する。加盟国と欧州議会が承認すれば国連などを通じ、当面はギリシャ国内で立ち往生している難民らを対象に食料品、医薬品、テントなどを提供する。

これに先立ち、ギリシャ政府は1日、EUに対して4億8,000万ユーロの緊急支援を要請したことを明らかにした。10万人分の食料や収容施設の整備に充てるとしている。一方、欧州委は2日、ギリシャがトルコ経由でモロッコやアルジェリアなどから入国した経済目的の不法移民308人について、トルコに送還するための手続きを開始したことを明らかにした。

EUは今月7日にブリュッセルでトルコと首脳会議を開き、トルコからギリシャに渡る難民らの流入抑制を要請する。不法移民のトルコへの送還も議論の柱となる見通しだ。

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