ハチソンがO2買収で是正策、回線容量の一部譲渡提案

香港の複合企業CKハチソン・ホールディングスは7日、スペイン通信最大手テレフォニカの英携帯電話サービス部門O2を買収する計画について、欧州委員会の承認を得るため新たな是正策を提示したもようだ。複数の欧米メディアによると、ハチソンは傘下の英携帯電話サービス会社スリーとO2が保有する回線容量の30%を英国のメディア関連企業2社に譲渡する方針を打ち出したとされる。欧州委はハチソンの提案を受け、5月19日までに買収の可否を最終判断する。

ハチソンは昨年3月、テレフォニカからO2を102億5,000万ポンドで買収し、スリーと統合すると発表した。英携帯電話サービス市場で2位のO2と4位のスリーの統合が実現すると新会社のシェアは40%を超え、最大手のEEを抜いて首位に浮上する。これに対し欧州委は10月、初期審査での承認を見送り、本格調査を開始した。買収を認めると英国の大手携帯事業者はスリー、EE、ボーダフォンの3社となり、寡占化が進んで価格上昇や投資縮小などの弊害を招く恐れがあると判断したためだ。

ロイター通信が関係者の話として報じたところによると、ハチソンが欧州委に提示した是正策は、英有料テレビ最大手スカイと英メディア大手リバティ・グローバル傘下のヴァージン・メディアに対し、スリーとO2が保有する回線容量の20%、10%を譲渡するという内容。ハチソン、スカイ、ヴァージン・メディアともコメントを控えている。なお、ハチソンはこれまでに、O2傘下のテスコ・モバイルの株式50%を売却するほか、ネットワークへの投資を維持する方針を打ち出している。

上部へスクロール