EUとメキシコは5月30日、2000年に発効した自由貿易協定(FTA)を「近代化」させるための協議を開始した。欧州委員会のマルムストロム委員(通商担当)とメキシコのビジャレアル経済相がブリュッセルで会談し、新たな貿易・投資協定の実現に向けたロードマップを策定。6月中旬までにブリュッセルで第1回交渉会合を開くことを決めた。
メキシコはEUが中南米諸国と最初に締結したFTAの相手国で、すでにメキシコからEUに輸出されるすべての工業品の関税が撤廃される一方、EUの工業製品に対する関税も協定発効以前の最高35%から5%に引き下げられ、EUとメキシコの貿易額はFTA発効後の15年間で約3倍に拡大した。しかし、この間に経済のグローバル化が進み、世界の貿易構造も大きく変化していることから、双方は現行の協定を深化させ、より一段の市場開放を実現して貿易と投資の拡大を図る必要があるとの認識で一致。昨年6月の首脳会議で新協定の締結に向けた交渉を開始することで合意した。
マルムストロム委員は会議後の会見で「世界規模で市場開放を進め、貿易を通じてEU経済の回復を図るための貿易・投資戦略『Trade for All(万人のための貿易)』に基づき、新たなイニシアチブに着手できることをうれしく思う。古くからの友人であるEUとメキシコの関係に新たなページが刻まれようとしている」と述べた。