カード手数料に関する新規則が発効、ペイメントカード市場の透明性確保

クレジットカードやデビットカードによる決済時の手数料に上限を設けることなどを定めたEUの「インターチェンジ・フィー規則」が9日付で完全に発効し、ペイメントカード市場の透明性を高めるための新ルールが導入された。欧州委員会はカード決済にかかる複雑な手数料構造の透明性を高めるとともに、小売業者がどのブランドの加盟店になるか自由に選択できるようにすることで公正な競争環境を確保し、消費者の負担軽減を図ることができると説明している。

EU内では年間約100億ユーロに上る手数料(インターチェンジフィー)が加盟店側からカード発行会社に支払われており、これが小売価格に転嫁されて消費者の負担増につながっている。また、手数料水準は国によってばらつきが大きく、リテール決済サービス分野における単一市場の実現を妨げる要因になっていた。欧州委員会はこうした現状を踏まえ、2013年7月にカード決済にかかる手数料に上限を設けることを柱とする規則案を提示。昨年に欧州議会と閣僚理事会で採択され、第一弾として、12月9日付でクレジットカード決済にかかる手数料を利用額の最大3%に制限するなどのルールが導入された。

今回新たに導入されたルールによると、クレジットカードやデビットカード機能とキャッシュカード機能を組み合わせたカード(たとえばベルギーで広く利用されている「バンコンタクト」と「マエストロ」のジョイントカードなど)の場合、小売業者は加盟するカード会社のブランドを自由に選ぶことができるようになる。また、現在は1つのカード発行銀行がさまざまなタイプのペイメントカードを発行しており、消費者は何枚もカードを持ち歩いて用途に応じて使い分けているが、今後は1枚のカードに機能を統合するよう求めることができるようになる。

一方、手数料に関しては、現在は加盟店がアクワイアラー(加盟店の開拓や決済処理を行う銀行)と結んでいる契約と、カード会員が支払っている会費以外は一般に開示されていないため、アクワイアラーがカード発行銀行に支払っている手数料や、ブランド間の契約内容などは不透明。新ルールの導入により、カード発行銀行は個々の手数料を開示することが義務付けられ、加盟店やカード会員は手数料構造の全体像を把握することが可能になる。

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