ウーバーの配車サービスは「違法」、仏裁判所が80万ユーロの罰金命令

パリの裁判所は9日、配車・相乗りサービスの米ウーバー・テクノロジーズに対し、旅客輸送の免許を持たないドライバーを使って違法なタクシーサービスを提供したとして、80万ユーロの罰金支払いを命じた。また、欧州・中東・アフリカ部門トップのピエール・ディミトリ・ゴアコティ氏とフランス部門ゼネラルマネジャーのティボー・シンファル氏に対しても、それぞれ3万ユーロ、2万ユーロの罰金を科した。ウーバーは判決を不服として控訴する構えをみせている。ただ、欧州ではウーバーにシェアを奪われたタクシー業界が反発を強めており、今回の判決を機に同社のサービスを規制する動きが加速する可能性もある。

裁判所が違法と判断したのは、「ウーバーポップ」と呼ばれるウーバーの主力サービス。スマートフォンのアプリを介して一般のドライバーを手配し、低料金で客を送迎するシステムで、フランスでは2014年2月のサービス開始以来、急速に普及が進んだ。しかし、タクシー会社の訴えを受け、ウーバーは政府の命令で昨年7月以降、ウーバーポップの提供を中止。現在は正規の免許を持つドライバーを使った配車サービスを展開している。

ウーバーポップをめぐっては、これまでにドイツやイタリアなどで違法判決が出ているが、幹部が訴えられたケースは今回が初めて。検察側はウーバーに対し、罰金100万ユーロと幹部2人に対する禁固刑、および向こう5年間にわたる仏国内での会社経営の禁止を求めていた。裁判所は同社がすでにウーバーポップのサービスを停止している点を考慮し、罰金を80万ユーロに減額するとともに、幹部に対する禁固刑などの要求を却下した。さらに罰金についてもそれぞれ半分は執行猶予とした。

ウーバーの担当者は「フランスでは昨夏にウーバーポップの提供を停止しており、裁判所の判断は非常に遺憾だ。当社のフランス事業に今回の判決は何ら影響しない」とコメント。ただちに控訴の準備を進める意向を示した。

上部へスクロール