英国のメイ新首相は20日から21日にかけて独メルケル首相、仏オランド大統領と相次いで会談し、EU離脱を年内に通告しない方針を伝えた。これに対して独仏首脳は、早期の離脱交渉が望ましいとしながらも、準備期間が必要とする英国側に一定の理解を示し、離脱交渉開始を来年に持ち越すことを事実上、容認した。
メイ首相の外国訪問は、13日に就任してから初めて。20日にベルリン、21日にパリを訪れ、首脳会談に臨んだ。
離脱交渉は英政府がEUに離脱を正式通告してから開始される。EU側は早期の通告、離脱交渉を求めているが、メイ首相は戦略を練るため時間が必要として、年内に離脱を通告しない方針を打ち出している。
メイ首相は今回の独、仏との首脳会談で、「秩序ある離脱」のためには準備期間が必要として、理解を求めた。メルケル首相は離脱問題が「宙に浮くのは英国、EUの両方にとって良くない」と述べ、早期の交渉開始が必要とする姿勢を崩さなかったが、「英国に慎重に準備を進めるための時間を与えることは妥当だ」と発言。オランド大統領も「(英の)新政権は発足したばかりで、時間が必要なのは理解できる」と応じた。
一方、英国は2017年7月から半年間にわたってEU議長国を務めることになっていたが、政府は離脱問題に優先的に取り組む必要があるとして、その権利を返上することを決め、その旨を19日にEUのトゥスク大統領(欧州理事会常任議長)に伝えた。これに伴い、18年1月に議長国となるはずだったエストニアが半年繰上げで議長国に就任する。