欧州証券市場監督機構(ESMA)は21日、英米系格付け会社フィッチ・レーティングスが信用格付け機関に対するEU規則(CRA規則)に違反したとして、138万ユーロの罰金支払いを命じたと発表した。EU加盟国の国債格付けに際し、情報管理や当事国への告知に関してEUルールに違反したというもの。フィッチは過去に同規則に対する違反行為があったことを認めたうえで、すでに再発防止策を講じたと説明している。
ESMAによると、フィッチは2010年12月から12年6月にかけてギリシャ、フランス、アイルランド、イタリア、ポルトガル、スペインの国債を引き下げたが、調査の結果、数人のシニアアナリストが公表に先立ち、フィッチの親会社であるフィマラックの幹部に格下げの情報を提供していたことが判明した。
一方、CRA規則ではEU加盟国の国債格付けを変更する際、格付け会社は当事国に対して公表の12時間前までに告知することが義務づけられている。これは当事国が事前に事実関係をチェックする時間を確保するための措置だが、ESMAによると、フィッチが12年1月にスロベニア国債の格付けを引き下げた際、同国に告知したのは公表のわずか3時間前だった。
ESMAは声明で、すでにフィッチはESMAの警告を受けてEUルールを遵守するための改善策を講じており、13年以降は違反行為もみられないため、こうした点を考慮して罰金額を決めたと説明している。