英製薬大手グラクソ・スミスクライン(GSK)は7月27日、英国内3カ所の拠点に総額2億7,500万ポンドを投じ、バイオ医薬品などの生産体制を強化すると発表した。GSKは6月の国民投票でEU離脱に反対を表明していたが、英国は今後も魅力的な生産拠点であり続けるとの見方を示し、積極的に国内事業への投資を進める姿勢を打ち出した。
GSKは英国内の9カ所に拠点を置き、約6,000人を雇用している。このうち投資の対象となるのは、イングランド北部バーナードキャッスルのバイオ医薬品工場、呼吸器治療薬の生産ラインがあるスコットランドのモントローズ工場、ロンドン北部ウェアの研究・開発(R&D)施設。2つの工場で生産される医薬品の大半は輸出される見通しだ。
ウィティ最高経営責任者(CEO)は声明で、「ここで先進的な製造業に投資していくことが、質の高い労働力や生命科学分野における英国のポジションに対する答えだ」と言明。そのうえで、英国のEU離脱に伴い域内共通の医薬品認可制度に影響が出たり、人材確保が困難になる可能性はあるものの、そうした懸念材料によって英国の競争力が損なわれるわけではないと強調した。
GSKでは世界全体のR&D支出のおよそ半分、生産量の3分の1を英国が占めている。製薬業界ではEU離脱によって英国に拠点を置くメリットが失われるといった声が出ているが、残留を訴えていたGSKが国内への投資姿勢を打ち出したことで、そうした懸念を和らげる効果がありそうだ。クラークビジネス・エネルギー・産業戦略相はGSKの決定を受け、「事業を拡大するうえで英国が欧州で最も良い場所だということが証明された」とコメントした。