英のEU離脱決定、ロンドン不動産市場を直撃

英不動産コンサルティング大手ナイト・フランクが3日発表した7月の不動産価格指数によると、ロンドン中心部の住宅価格は前年同期比で1.5%下落し、およそ7年ぶりの大幅な落ち込みとなった。同社は土地印紙税と呼ばれる不動産取引にかかる税率の引き上げや、賃貸物件や別荘を対象とする新たな税制の導入などに加え、6月末の国民投票でEU離脱が決定したことで景気後退の懸念が高まり、住宅価格の大幅な下落につながったと分析している。

ロンドンの不動産市場は長年にわたり活況が続いていたが、価格の上昇を支えていた外国人投資家が通貨安や原油安、株式市場の急落などへの対処に追われるなか、今年に入り需要が低迷。まず、商業用不動産の価格が下落に転じ、5月以降は高級住宅地の物件を中心に、住宅価格も下落傾向にあった。

ナイト・フランクによると、7月の住宅価格指数(-1.5%)は、英国経済が金融危機からの回復期に入った直後の2009年10月以降で最大の下げ幅となった。特に高級百貨店ハロッズなどがある最高級地区ナイツブリッジ周辺の住宅価格は前年同月の水準を7.3%下回り、ロンドン中心部の15地区のなかで最も大きく落ち込んだ。ただ、それでもロンドン中心部の住宅価格は09年末の水準と比べて50%以上高くなっている。

ナイト・フランクのロンドン住宅区域担当調査責任者トム・ビル氏は、「国民投票でEU離脱が決まった直後から、政治・経済面の不確定要素を背景に、実に多くの買い手から値引き要求が寄せられている。英国のEU離脱決定に伴う先行きへの不安が、ロンドンの不動産市場に確実に影響を及ぼしている」と指摘した。

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