スウェーデンの製紙・衛生用品大手SCAは24日、2017年に会社を2分割する計画を明らかにした。成長分野の衛生用品事業と製紙やパルプなどを含む林産事業に分割し、それぞれ独立した公開企業として運営する。林産事業は同業大手の買収ターゲットになる可能性が高く、分社化計画を受けてSCAの株価は過去最高を記録した。
SCAは1929年設立でストックホルムに本社を置く。同社は欧州最大の森林所有者で、段ボールなどのパッケージ用品、新聞・雑誌をはじめとする各種用紙類、木材製品などを世界各国に供給している。ただ、林産事業は近年、縮小傾向にあり、現在は成人用排泄ケア用品やパーソナルケア製品などを柱とする衛生用品事業が売上高の約85%を占めている。米プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)や米キンバリー・クラークなどとのシェア争いが激しさを増すなか、SCAは17年後半に衛生用品事業を別の社名で上場させ、需要増が見込める新興市場で事業拡大を図る。
一方、分社化に伴い、市場では安定経営の林産事業が基盤強化を狙う同業大手にとって格好の買収目標になるとの見方が出ている。買い手候補として、SCAの筆頭株主である投資会社インドゥスリートバルデンのフレドリク・ルンドベルク会長が保有する林業大手ホルメン、インドゥスリートバルデンに次ぐSCA株主の政府系ファンド(ソブリン・ウェルス・ファンド)などの名前が挙がっている。