9月のユーロ圏インフレ率、2年ぶり高水準に

EU統計局ユーロスタットが9月30日発表した同月の消費者物価統計(速報値)によると、ユーロ圏の消費者物価指数上昇率(インフレ率)は前年同月比0.4%となり、前月の0.2%から0.2ポイント拡大した。これは14年10月以来約2年ぶりの高水準。依然として欧州中央銀行(ECB)が目標とする2%を大きく下回っているものの、デフレ懸念は遠のいた。

物価上昇は原油安に歯止めがかかり、エネルギー価格の下げ幅が前月の5.6%から3%に縮小したのが主因。工業製品の上昇率は前月と同じ0.3%。サービスは0.1ポイント上回る1.2%となった。

石油輸出国機構(OPEC)が先ごろ、8年ぶりに減産を決めたことで、原油価格は上昇に転じる見通しで、ユーロ圏の物価安定も進むことが予想される。ECBのドラギ総裁は9月初め、物価を押し上げるため、必要に応じて追加の量的金融緩和に踏み切る方針を示していたが、同措置実施を求める圧力は弱まりそうだ。

ただ、価格変動が激しいエネルギー、食品・アルコール・たばこを除いた基礎インフレ率は前月と同じ0.8%で、なお低い水準にある。ユーロ圏の景気回復の足取りは重く、英国のEU離脱問題が不安材料となっている。このためアナリストらの間では、ECBが追加緩和を当面は見送るものの、近い将来に実施するとの見方が出ている。

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