欧州委が独を提訴、アウトバーン通行料めぐり

欧州委員会は9月29日、ドイツが計画している高速道路「アウトバーン」の有料化について、実質的に国外で登録された乗用車のみを課金対象とする料金制度はEU法に違反するとして、独政府をEU司法裁判所に提訴したと発表した。EU機能条約は利用者の居住地によって異なる扱いをすることを禁じており、ドイツの道路通行料金制度はこうした原則に反すると説明している。

独連邦議会は昨年3月、アウトバーンを走る乗用車に通行料を課す法案を可決した。現在は大型トラックを除いて無料だが、排気量、排ガス性能、燃料の種類に基づいて、年間22~130ユーロを徴収するという内容。ただし、国内で登録されている車両については自動車税とインフラ税で通行料が全額相殺されるため、実際の課金対象は国外で登録された車両のみとなる。さらに、国外からの車両向けに有効期限が10日および2カ月のヴィネット(料金前払いの道路利用券)が販売されるが、料金は2カ月有効のもので最大30ユーロと、年間の通行料(最大130ユーロ)に比べて割高になっている。

欧州委はこうした料金制度について、国内の登録車両に料金の相殺を認めるルールはドイツ在住者に対する優遇策であり、国外の利用者に対する差別に当たる可能性があるとして、法案が閣議決定される2014年12月以前から独政府に見直しを求めていた。しかし、ドイツ側はEU法に合致しているとの立場を崩さなかったため、欧州委は昨年6月に最初の警告を行い、今年4月に異議告知書を送付していた。

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