ロビイストに共通データベース登録義務化、閣僚理への接触も対象に

欧州委員会は9月28日、欧州議会、閣僚理事会、欧州委員会に接触を図るロビイストに対する規制強化策を発表した。3機関共通のデータベースを構築し、企業や利益団体の要請で活動するプロのロビイストだけでなく、法律事務所、シンクタンク、非営利組織、宗教団体などの担当者にも登録を義務付けるという内容。域内でEU懐疑論が広がるなか、意思決定プロセスの透明性を高めてEUに対する市民の信頼を回復する狙いがある。

EUではさまざまな分野の専門知識を持つロビイストが関連機関に働きかけを行い、法律の制定や政策決定に大きな影響を与えている。欧州議会は1996年、欧州委は2008年にそれぞれ任意の登録制度を導入したが、両機関は11年に「透明性のための登録」と呼ばれる共通の登録制度を導入。これまでに9,800人以上の情報が登録されている。ただ、登録はあくまでも任意ベースで、ロビー活動を監視する明確なルールは整備されていないため、実態の把握は困難だった。

規制案によると、欧州議会、閣僚理事会、欧州委に出入りするロビイストは3機関共通の登録簿に基本情報を登録し、行動規範を遵守することが義務付けられる。これにより、3機関のメンバーは事前に登録していないロビイストと面会することができなくなり、欧州委はロビー活動の公正性と透明性の向上につながると説明している。

EUでは欧州委のバローゾ前委員長が、米金融大手ゴールドマン・サックスの欧州事業を統括する会長職に就任することや、同じく欧州委のクルス元副委員長が、タックスヘイブン(租税回避地)のバハマに設立された法人の役員を務めていたことに対する批判が高まっている。ティーマーマンス第一副委員長は「EUの各機関は連携してEU市民の信頼を回復しなければならない。登録を義務化することで、EU市民は誰が、誰のためにロビー活動を展開し、どの程度の資金を注ぎ込んだか知ることができる」と強調した。

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