エアバス支援めぐりEUがWTOに上訴、低利融資と補助金を混同と反論

EUは13日、欧州航空機大手エアバスへの資金支援をめぐり、EUが世界貿易機関(WTO)の是正勧告に従わず、依然として違法な支援を継続していると主張する米国の訴えを大筋で認めたWTO紛争処理小委員会(パネル)の判断を不服とし、WTO上級委員会に上訴した。欧州委員会はEUによるエアバス支援を協定違反と認定したWTO裁定について、同社に対する低利融資を補助金と認定するなど、パネル報告にはいくつかの誤りがあると主張。米航空機大手ボーイングに対する支援策がWTOルールに違反するとして、EUが米政府を提訴している問題と合わせて総合的に判断するよう求めている。

エアバスへの資金支援をめぐっては、2004年に米国が不公正な補助金にあたるとしてWTOに提訴した。WTOは11年6月、エアバスが新型航空機の開発資金として英国、フランス、ドイツ、スペイン政府から低利融資の形で不公正な補助金を受け取り、最大のライバルであるボーイングに深刻な打撃を与えたと認定。EUはWTOの裁定を受け、是正勧告に従って改善策を講じたとする報告書を提出したが、米側は対応が不十分としてこれを拒否し、12年に再提訴。WTOはEU側の対応を確認するためのパネルを設置し、是正措置の履行状況について審査を進めた結果、9月にEUがWTOの勧告を受けて実施したと報告していた36項目の改善策のうち、34項目は妥当な措置とは認められないとする報告書をまとめた。

WTOによると、欧州委は米側が11年のWTO裁定後もEUがエアバスに対し、低利融資の形でおよそ220億ドルの補助金を交付していたと主張し、WTOがこれを認めた点を問題視。同社に対する資金支援はすべて返済可能な融資であり、補助金とは全く異なると反論している。

航空機補助金をめぐっては、EUも04年、ボーイングに対する支援策がWTOルールに違反するとして、米政府を逆提訴。WTOは11年、EU側の主張を大筋で認め、米政府に是正勧告を行った。しかし、EUは米政府の対応が不十分と主張し、WTOにパネル設置を要求。現在、米政府が是正勧告に従って適切な改善策を講じているかについて確認作業が進められおり、近くパネルが判断を示すとみられている。

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