EUが官民のVCファンド創設へ、16億ユーロ規模目指す

欧州委員会のモエダス委員(研究・科学・技術革新担当)は8日、EUが16億ユーロ規模のベンチャー・キャピタル・ファンド「汎欧州ベンチャー・キャピタル・ファンド・オブ・ファンズ」を創設する計画を発表した。米国と比べて手薄なベンチャー企業向け投資を拡大し、域内の新興企業を支援する体制を強化するのが狙い。民間のファンドマネジャーに委託して運用する。

汎欧州ベンチャー・キャピタル・ファンド・オブ・ファンズは官民ファンド。EUが拠出する4億ユーロが元手となる。EUが選定する民間のファンドマネジャーが資金を3倍以上に増やし、運用する。EUの出資は25%が上限となるため、ファンドは最大で16億ユーロ規模となる。ファンドマネジャーの応募締め切りは来年1月31日。

モエダス委員によると、EUで活動するベンチャー・キャピタル(VC)ファンドは平均6,000万ユーロ規模で、米国の同ファンドの1億2,000万ユーロの半分にとどまっている。VCファンドの投資額も米国を大きく下回っており、EUの新興企業が域内で資金を調達することが難しく、域外のVCファンドに買収されるケースが多い。同委員はEUに官民VCファンドを創設することで、こうした状況を改善し、高い技術力を持つ新興企業が「欧州で起業し、欧州にとどまるようにしたい」と述べた。

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