欧州5カ国首脳とオバマ大統領が会談、NATO軸とする協力関係維持で一致

欧州主要5カ国の首脳は18日、ベルリンでオバマ米大統領と会談し、トランプ次期大統領の政権下でも北大西洋条約機構(NATO)などを通じ、引き続き欧米間で協力関係を維持することが重要だとの認識で一致した。また、トランプ氏がロシアに接近する姿勢をみせるなか、各国首脳はウクライナ問題を受けた対ロ制裁を当面維持する方針を確認した。

オバマ大統領はメルケル独首相、英国のメイ首相、フランスのオランド大統領、イタリアのレンツィ首相、スペインのラホイ首相と会談した。トランプ氏は選挙期間中、NATOへの積極的な関与に慎重な姿勢を示す一方、NATOに加盟する欧州諸国に対して負担増を求めていたことから、欧州では安全保障政策への影響について懸念が広がっている。

政府軍と親ロシア派の戦闘が続くウクライナ東部情勢に関しては、「ほとんど進展がない」(メルケル首相)なか、ロシアが停戦合意を完全に履行しない限り、制裁を維持する方針を確認した。ただ、トランプ氏はプーチン大統領との関係強化を図る意向を示しており、新体制発足を機にロシアが欧州に対してより強硬な姿勢を取るおそれがある。また、トランプ政権が発足する1月より前に、ロシアがシリアやウクライナに新たな攻撃を仕掛ける可能性も指摘されている。

さらに、トランプ氏が人種差別や女性蔑視の発言をくり返したことで、欧州では同氏が欧米間の「基本的な価値観」を尊重していないのではないかとの懸念が広がっている。一方、欧州でも来年はフランスの大統領選挙とドイツの議会選挙を控えており、英国のEU離脱交渉も始まる。このため、欧米間の新たな関係作りが本格化するのは来年後半以降との見方も出ている。

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