EU加盟国は17日、ブリュッセルで大使級会合を開き、ウクライナからの短期渡航者に対し、査証(ビザ)を免除する方針で基本合意した。ウクライナとの関係強化を鮮明にすることで、対立するロシアをけん制する狙いがあるとみられる。ただ、難民の流入が再び急増したり、治安悪化のリスクが増した場合などに、ビザ免除を一時停止できる制度を強化することが条件で、実施には時間がかかるとの見方も出ている。
ビザなし渡航が認められるのは、90日以内の短期滞在。EUとウクライナは2014年のロシアによるクリミア併合をきっかけに、関係強化を進めており、ビザ免除もその一環。ビザ免除を実現するにはEUが求める72項目の基準を満たす必要があるが、欧州委員会は昨年12月、ウクライナはすべての基準を満たしているとの結論をまとめ、今年4月に短期渡航者に対するビザ免除を欧州議会と加盟国に提案していた。
ウクライナのポロシェンコ大統領はツイッターで「EUの決定を歓迎する。ビザなし渡航の実現に向けた手続きが速やかに完了するよう働きかける」とコメントし、早期実現に期待を寄せた。
ただ、緊急時にビザ免除を一時停止する制度をめぐっては、欧州議会と加盟国の間で協議が続いている。詳細は不明だが、緊急措置を発動する際の条件などをめぐって調整が難航しているもようで、ウクライナからの短期渡航者に対するビザ免除が実現する時期は不透明だ。