仏電力最大手のフランス電力公社(EDF)は16日、仏原子力大手アレバの原子炉部門を買収する契約に正式調印したと発表した。同買収は仏政府が主導するアレバ救済策の柱となるもので、2017年下期の手続き完了を見込む。
EDFはアレバの原子炉部門アレバNPが100%を出資して新設する原子炉建造子会社の株式の最大75%を取得する。同子会社の評価額は25億ユーロ。アレバも15%を出資する。残る株式は他社に売却する予定で、数週間以内に協議を開始する。EDFの出資比率は同協議の結果によって決まるが、51%は下回らない。
2001年に設立されたアレバは、世界的な原子力企業として順調に業績を伸ばしていた。しかし、福島第1原発の事故で脱原発の動きが広がり、受注が落ち込んだことや、フィンランドなどで建設している次世代の加圧水型炉(欧州加圧水型原子炉=EPR)の技術トラブルなどで経営が急速に悪化。赤字が膨らんでいる。こうした状況を受けて、仏政府は2015年6月、原子炉事業をEDFの傘下に置く再編計画を発表。EDFとアレバは同年7月、同事業の買収について合意したが、評価額は決まっていなかった。
アレバは中核の原子炉事業から徹底し、核燃料事業に経営資源を集中することになる。ただ、フィンランドのオルキルオト原子力発電所3号機の建設事業については、スケジュールがずれ込んでいることから売却の対象外とし、アレバが完成に責任を持つ。