欧州議会は24日の本会議で、EUにトルコとの加盟交渉を一時凍結することを求める決議を採択した。トルコ政府が7月のクーデター未遂事件を機に強権的な姿勢を強めていることを問題視したもので、決議案は賛成479票、反対37票の圧倒的多数で可決された。
トルコのエルドアン政権はクーデター未遂以降に、政府に批判的な多数の軍関係者、ジャーナリスト、クルド人指導者など拘束し、弾圧を強めている。これを受けて欧州議会は、欧州委員会とEU加盟国に加盟交渉の凍結を求める内容の決議を採択した。
EUではオーストリアのケルン首相が8月、加盟交渉の停止が必要との見解を示した。しかし、今年3月の首脳会議で新たにギリシャに密航した不法移民らをトルコに強制送還する見返りとして、停滞しているトルコとの加盟交渉を加速させることで合意した経緯があり、主要国のドイツとフランスを含む大多数の国が交渉継続を支持している。
欧州議会の決議に法的拘束力はなく、難民問題でトルコの協力が不可欠となっている加盟国が交渉停止を決める可能性は極めて小さい。トルコ政府は同日、今回の動きを無意味なことだとしながらも猛反発し、仮に交渉が凍結されればEUが再び難民の大量流入に見舞われると警告した。
ただ、同決議はトルコの人権抑圧問題に対応するようEUに圧力をかけた格好で、加盟国は12月中旬に開く首脳会議で同問題を協議するとみられる。