欧州委員の天下り制限強化へ、前委員長の転身めぐる批判に対応

欧州委員会のユンケル委員長は23日、欧州委員の天下り制限の強化を提案した。バローゾ前委員長の米ゴールドマン・サックス入りが大きな波紋を広げたことを受けたもので、欧州議会の承認を経て実施する。

欧州委の行動規範では、欧州委員長と欧州委員が民間企業などに転身する場合、退任から1年半は欧州委の承認が必要となる。ユンケル委員長の見直し案では、同期間を欧州委員長で3年、欧州委員で2年に延長する。

ゴールドマン・サックスは7月、バローゾ前委員長が英ロンドンを本拠とする国際部門ゴールドマン・サックス・インターナショナルの会長に就任すると同時に、海外事業の顧問となる人事を発表した。英国のEU離脱が業務に及ぼす影響などについて助言を得るのが目的と説明していた。

これをめぐっては、バローゾ氏が欧州委員長を退任してから1年半以上が経過していたものの、前欧州委員長としてEUに影響力があり、情報を入手できる立場にある同氏のゴールドマン入りには問題があるとの批判が噴出。欧州委の倫理委員会は10月、行動規定には抵触しないものの、ゴールドマン・サックスへの再就職を決めた同氏の判断は望ましいものではなかったとする見解を示した。

ユンケル委員長は天下り制限の強化について、同問題を受けて「行動規範を強化し、高い倫理基準を設けることで、利益相反のケースに対応する必要があると考えた」と述べた。

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