欧州議会、EU加盟国、欧州委員会の3機関は22日、武装勢力の資金源となる「紛争鉱物」の取引を規制する法案の内容で合意した。対象となる4種類の鉱物を扱う輸入業者に対し、2021年から調達先や流通経路の調査を義務付ける。欧州議会と閣僚理事会の正式な承認を経て新規制を導入する。
紛争鉱物とは紛争地域で産出され、その売却資金が紛争当事者の資金源となって、結果的に紛争の長期化に加担している鉱物を指す。米国のドッド・フランク法に盛り込まれた規定にみられるように、一般には中部アフリカのコンゴ民主共和国およびその周辺国で産出される金、タンタル、スズ、タングステンの4鉱物(英語の頭文字をとって「3TG」と呼ばれる)を指すが、EUの規制案は紛争地域を特定のエリアに限定せず、「武力紛争の影響を受けているすべての地域およびそのリスクが高い地域」と範囲を広げている。
欧州委は2014年3月、上記4鉱物の輸入業者に対し、経済協力開発機構(OECD)の「紛争地域及び高リスク地域からの鉱物の責任あるサプライチェーンのためのデュ-・ディリジェンス・ガイダンス(紛争鉱物ガイダンス)」に沿って鉱物の調達先と流通経路を調査することを求め、輸入した鉱物が紛争地帯に由来するものではないことを任意で自己認証する制度の導入を提案した。
しかし、欧州議会では企業による自主的な取り組みでは不十分だとの声が上がり、昨年5月にすべての輸入業者に対し、OECDのガイダンスに沿ったデュ-・ディリジェンスの実施と、各国当局への報告および情報開示を義務づける内容の修正案を採択。最終的に欧州委、欧州議会、加盟国は今年6月、紛争鉱物を扱うすべての輸入業者(取扱量がごく少量の業者を除く)に対して法的拘束力のある義務を課すことで一致し、その後、新規制の導入時期をめぐって詰めの調整が続いていた。
欧州委のマルムストロム委員(通商担当)は会見で「紛争鉱物の取引によって武装勢力に資金が流入し、結果的に人権侵害や暴力行為に加担することがあってはならない。EUが導入を目指しているのは極めて厳格な規制であり、他の国がこれに続くことを期待する」と述べた。