米J&Jがスイスのアクテリオンに買収提案、医薬品事業を強化

米医薬品・生活用品大手ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)は25日、スイスのバイオ医薬品大手アクテリオン・ファーマシューティカルズの買収に向けて交渉を進めていることを明らかにした。アクテリオンも同日、J&Jから買収の打診を受けたことを確認したが、取引が成立する保証はないと指摘するにとどめ、詳細は明らかにしていない。

買収交渉の報道を受けてアクテリオンの株価は25日、前日終値より19%高い187.70スイスフランまで上昇。時価総額は終値ベースで199億スイスフラン(約196億ドル)に達した。

アクテリオンは希少疾患に重点を置いて研究開発を進めており、開発戦略に合致した化合物の臨床試験にも力を入れている。主力の肺動脈性肺高血圧症治療薬「オプスミット(一般名:マシテンタン)」と「ウプトラビ錠(一般名:セレキシパグ)」を合わせた売上高は、2016年の約14億ドルから20年には46億ドルを超えるとみられている。

一方、J&Jは医薬品事業の強化を目指しており、9月には米アボット・ラボラトリーズの眼科治療関連事業を約43億ドルで買収すると発表している。

バイオテクノロジー分野で欧州最大手のアクテリオンは、数年前から大手製薬会社にとって格好の買収ターゲットになるとみられており、仏サノフィによる買収観測などが浮上したことがある。共同創業者で最高経営責任者(CEO)のジャン=ポール・クローゼル氏は、これまで一貫して独立路線を維持する方針を示していたが、J&Jによる買収の打診を最初に報じたブルームバーグ通信によると、アクテリオンは現在、アドバイザーと買収提案への対応を協議しており、条件によっては売却を検討する可能性があるとの関係者のコメントを紹介している。

上部へスクロール