海運大手マースク、独ハンブルク・スードを買収

コンテナ海運世界最大手のAPモラー・マースク(デンマーク)は1日、独同業ハンブルク・スードを買収することで合意したと発表した。同社の親会社である独複合企業アウグスト・エトカーから株式を取得する。買収額は非公表。

海運業界では過剰な輸送能力と運賃下落を受けて構造不況が続いており、各社は合併・買収や提携を通じた収益力の強化に乗り出している。マースクも買収によって事業を強化する方針を9月に打ち出していた。今後はハンブルク・スードの資産査定を行った上で、エトカーと正式契約を締結する。2017年末までの買収手続き完了を目指す。

ハンブルク・スードは1871年に創業。エトカーは1936年に資本参加し、55年に完全子会社化した。

ハンブルク・スードはコンテナ船130隻を保有し、輸送能力は62万5,000TEU(20フィートコンテナ換算)に上る。コンテナ海運業界では世界7位で、ドイツではハパックロイドに次ぐ2位に付けている。世界250カ所以上に事務所を持ち、雇用規模は5,960人。昨年の売上高は60億5,700万ユーロだった。

マースクは同社の買収により、輸送能力を約380万TEUに拡大し、シェアを15.7%から18.6%に引き上げる。コンテナ船は741隻となる。

ハンブルク・スードは2013年、ハパックロイドと合併協議を行った。しかし、協議が決裂して実現しなかったため、ハパックロイドはチリ同業CSAVとコンテナ事業を統合した経緯がある。ハパックロイドは中東のユナイテッド・アラブ・シッピング・カンパニー(UASC)とも年内に合併する予定だ。