英のEU離脱交渉、18年10月が合意期限=欧州委担当者

英国のEU離脱交渉で欧州委員会の責任者となるミシェル・バルニエ氏(元仏外相)は6日、英政府が2017年3月末までに離脱を通告した場合、離脱交渉は18年10月までに合意に達する必要があるとの見解を示した。交渉開始から離脱協定締結までの期間は原則的に2年と定められているが、合意してからEU各国と英国、欧州議会での批准手続きに半年程度が必要となることから、実質的な交渉期間は1年半になるとしている。

バルニエ氏は2010~14年に欧州委員(域内市場・サービス担当委員)を務めた経歴を持つベテラン政治家。欧州委のユンケル委員長は7月、同氏を離脱交渉の責任者に任命した。

同氏は就任してから初の記者会見で、交渉期限を18年10月とする意向を表明。「時間は少ない」と述べた。英国のジョンソン外相は同日、1年半という交渉期間について「完全に十分だ」と応じた。

さらにバルニエ氏は離脱交渉に関して、EU単一市場へのアクセスと域内の人の自由な移動は「不可分だ」と述べ、移民を制限しながら単一市場残留を模索する英政府に「いいとこ取りの選択肢はない」と釘を刺した。

英メイ首相は9月、来年3月までに離脱を正式に通告する意向を表明。しかし、同国の高等裁判所は11月初め、政府はEUへの離脱通告に際して議会の承認を得なければならないとする判決を下した。政府が上訴し、最高裁での審理が5日に開始されたが、訴えが退けられれば議会承認の手続きが必要となり、離脱通告がずれ込む可能性がある。

英下院は7日、政府がEUへの離脱通告に先立って離脱交渉の方針を公表することを条件に、3月末までの通告を支持する動議を賛成多数で可決した。ただ、政府が方針をどこまで詳細に公開するかは不透明で、議会が情報開示を不十分と判断すれば混迷し、通告が遅れる事態も予想される。

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