マイクロソフトのリンクトイン買収、条件付きで承認

欧州委員会は6日、米マイクロソフトがビジネス向けソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の米リンクトインを買収する計画を承認したと発表した。買収が実現すると市場競争が阻害されるとの懸念に対応するため、今後5年間にわたりマイクロソフトが提示した譲歩案を履行することが承認の条件。欧州委の決定を受け、マイクロソフトは8日に買収手続きが完了したと発表した。

マイクロソフトは6月、リンクトインを262億ドルで買収すると発表した。成長分野の企業向けクラウド事業を強化するのが狙いで、マイクロソフトにとって過去最大規模の大型買収として注目を集めた。しかし、リンクトインに買収案を提示したものの、マイクロソフトに競り負けた顧客情報管理(CRM)ソフト大手の米セールスフォース・ドットコムなどから市場競争が阻害されるとして両社の取引に反対する声が上がり、欧州委がEU競争法に基づく本格調査の是非を検討していた。

欧州委によると、マイクロソフトは◇パソコンメーカーや販売業者がマイクロソフトの基本ソフト(OS)「ウィンドウズ」にリンクトインをインストールするかどうか自由に選べるようにする◇リンクトイン「ウィンドウズ」にプリインストールされている場合はユーザーが削除できるようにする◇リンクトインと競合するビジネスSNSに対し、引き続きビジネス用アプリケーションソフトのパッケージ製品「オフィス」へのアクセスを提供する――などの譲歩案を提示。マイクロソフトとリンクトインの間で事業分野の重複は少ないことから、欧州委はマイクロソフトが譲歩案を確実に履行すれば、著しく競争が阻害される恐れはないと判断した。

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