テロ資金源根絶の新対策発表、資金移動の監視強化など柱

欧州委員会は12月21日、テロ組織の資金源を絶つための新たな対策を盛り込んだ規則案および指令案を発表した。域外からの現金の持ち込みや不透明な資金移動の監視強化、税関検査の拡充、マネーロンダリング(資金洗浄)の取り締まり強化などを柱とする内容。欧州議会と閣僚理事会の承認を経て新ルールを導入する。

欧州委のティメルマンス第1副委員長は新たなテロ資金対策の狙いについて「テロリストや犯罪者の資金源を絶つための法的手段を強化する。EU市民の安全確保に向け、疑わしい資金の流れをいち早く発見してテロ組織などへの流入を阻止し、EU各国の捜査当局や税関の連携をサポートするために適切な手段を講じる必要がある」と説明した。

欧州委がまとめた法案のうち「現金管理に関する規則(案)」によると、EU域内への出入りに際して現金1万ユーロ以上を所持している人物の管理を強化し、捜査当局がテロリストやテロ組織への資金提供者を特定しやすくする。また、現行ルールでは税関申告の必要がない1万ユーロ未満の場合でも、「犯罪行為が疑われる」場合は当局による検査や差し押さえが可能になる。さらに、現在は税関申告の対象になっていないプリペイドカードへの検査や、郵便小包や貨物輸送を使った現金輸送への監視も強化する。

一方、「犯罪組織の資産凍結と差し押さえの相互承認に関する規則(案)」によると、各国当局が国境を越えてテロリストにつながる資産を効率的に凍結・押収できるようにするため、執行手続きに関するルールを域内で共通化する。

テロの資金源になりやすいマネーロンダリングについてもEU全体で取り締まりを強化する。「マネーロンダリング禁止指令(案)」は国によって異なるルールが犯罪の抜け穴になっている現状を改善するため、資金洗浄に関連した犯罪の認定基準や罰則規定について、最低限の共通ルールを定めることを提案している。

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