欧州議会国際貿易委がCETA承認、4月にも暫定発効へ

欧州議会国際貿易委員会は24日、EUとカナダが昨年10月に調印した包括的経済貿易協定(CETA)を承認した。欧州議会内では雇用への影響などを理由にCETAに反対する動きも一部でみられたが、通商政策に関して主要な権限を持つ委員会の承認により、批准手続きは重要な関門を突破した。2月には本会議での採決が予定されており、欧州議会の承認を経てCETAは4月にも暫定発効する見通しだ。

CETAはEUが主要7カ国(G7)と結ぶ初めての自由貿易協定(FTA)となる。発効すると5億人超の人口を抱える巨大市場のEUとカナダの間で、農産物や工業製品の99%にあたる品目の関税が撤廃される。これによってEU・カナダ間の貿易は20%拡大し、EU経済は120億ユーロ、カナダ経済も120億カナダドル(約90億米ドル)押し上げられるとの試算がある。ただし、協定の完全な発効にはEU28カ国の議会と、ベルギーなど一部の国の地方議会の批准が必要となる。

国際貿易委では賛成25、反対15、棄権1で協定が承認された。承認を勧告した最大会派・欧州人民党グループ(EPP)のパブリクス議員(ラトビア選出)は「保護主義とポピュリズムが急速に勢いを増す中で、欧州議会はEU市民の利益のために行動しなければならない。すでに合意した協定を批准することで、大西洋をはさんだ貿易がEUとカナダ双方に富をもたらし続けることになる」と強調。欧州委員会のマルムストロム委員(通商担当)は「21世紀のこの時代に国境を再構築し、貿易障壁を高くして、人とモノの自由移動を制限することで再び繁栄を築くことができると考える人々は、失敗する運命にある」と述べ、貿易委の承認を歓迎した。

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