EUの欧州委員会は25日、米製薬大手のアボット・ラボラトリーズが検査薬・検査機器を手がける米アリーアを買収する計画を承認したと発表した。一部事業の売却が条件となる。
欧州委は買収の可否をめぐる審査で、両社がともに臨床検査システム事業を展開しているものの、アリーアがポイント・オブ・ケア(医師が患者を直接診断、治療する行為)部門に集中していることから、概ね補完的な関係にあると判断した。ただ、血液ガス分析装置、心筋マーカー、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)検査薬の3分野で重複しており、両社の統合が競争を阻害する恐れがあると指摘していた。
これに対してアボットが、アリーアの関連事業を売却することを提案したことから、その実施を条件に買収を承認した。
アボットは昨年2月、アリーアを58億ドルで買収することで合意していた。しかし、契約後にアリーアで問題が生じ、同社の企業価値が大きく損なわれたとして、12月に契約破棄を表明。これに反発するアリーアと訴訟で争っており、買収が実現するかどうかは不透明な情勢だ。