スペイン3位銀行のカイシャバンクは8日、ポルトガル大手銀行のバンコBPIに対する株式公開買い付け(TOB)が成功したと発表した。これによってBPIの8割を超える株式を確保し、買収が決まった。
カイシャバンクは2015年2月、約4割を出資していたBPIを買収すると発表した。カイシャバンクの議決権を20%に制限する条項の撤廃がTOB実施の条件だった。しかし、BPIの大株主であるアンゴラの大富豪イサベル・ドス・サントス氏など一部の株主が難色を示したことから、買収が難航していた。
状況が好転したのは昨年9月。BPIがドス・サントス氏の求めに応じて、アンゴラ部門の株式2%を同氏系企業に売却することを決めたことから、同氏は株主総会での投票を棄権する形で同条項の撤廃を支持。株主総会で撤廃が承認され、カイシャバンクはTOB実施を正式に決めた。
カイシャバンクはTOBでBPIの株式を追加取得し、持ち株比率を45.5%から84.5%に引き上げた。1株当たりの買い取り価格は1.134ユーロ。買収額は6億4,450万ユーロに上る。
カイシャバンクは時価総額でバンコ・サンタンデール、バンコ・ビルバオ・ビスカヤ・アルヘンタリア(BBVA)に次ぐ国内3位の銀行。好調な業績に支えられて買収を進めており、2014年に英大手銀行バークレイズのスペイン事業の大部分を買収した。BPI買収によって、ポルトガルに大きな事業基盤を持つことになる。