欧州議会は2日の本会議で、フランス大統領選に出馬する極右政党、国民戦線(FN)のルペン党首の欧州議員としての免責特権を停止する決議を採択した。ルペン氏は過激派組織「イスラム国」(IS)の残虐画像をツイッターに投稿した問題で仏当局の捜査対象となっており、免責特権の停止に伴い同氏に対する訴追が可能になる。
ルペン氏は2015年12月、仏メディアがFNをISになぞらえたことを受け、「これがISだ」とのメッセージと共に、IS戦闘員が人質だった米国人ジャーナリストの首を切り落とす場面の写真などを投稿。捜査当局が「残虐画像の流布」の容疑でルペン氏に対する捜査を開始し、16年4月には事情聴取のため同氏に出頭を求めたが、欧州議員の免責特権を理由に出頭を拒否していた。
欧州議会本会議では、過半数の議員がルペン氏の免責特権を停止する決議に賛成票を投じた。フランスの法律によると、残虐画像の流布の罪を侵せば3年以下の禁錮、7万5,000ユーロ以下の罰金が科せられる。
FNのフィリポ副党首は仏BMFテレビとのインタビューで、「免責特権の停止はまったくばかげており、問題だ」と述べ、欧州議会の対応を強く批判した。一方、ルペン氏は欧州議会の採決に先立って地元メディアの取材に応じ、「なぜ自分だけが捜査の対象になるのか。私は議員の立場でISの残虐行為を非難しただけだ」と強調。捜査は大統領選でのルペン氏の躍進を阻むための「政治的な企て」との見方を示した。