欧州委のTNT買収阻止は不当、欧州裁がUPSに軍配

欧州司法裁判所の一般裁判所は7日、米物流大手UPSによるオランダ同業TNTエクスプレスの買収を差し止めた欧州委員会の決定を無効とする判決を下した。同措置を不当とするUPSの主張が認められた。

UPSは2012年3月、TNTを51億6,000万ユーロで買収することで合意。これが実現すると、欧州の急送便市場でドイツポスト傘下のDHLを抜き最大手に浮上するはずだった。しかし、欧州委は13年、UPSとTNTが統合するとEU15カ国で小口宅配便市場の寡占が進み、健全な競争が阻害されるとして、買収を差し止めた。UPSはこれを不服とし、提訴していた。

欧州裁の一般裁判所は、欧州委が同買収の可否をめぐる審査で、過去の案件と異なる「計量経済学的なモデル」に基づいて競争上の分析を行い、UPSの権利を侵害したと認定。同社に軍配を上げた。

欧州委の報道官は同日、「判決文を慎重に精査している」として、上訴するかどうかは明らかにしなかった。

TNTは後に米フェデックスに買収されたことから、UPSによる買収が復活することはないが、勝訴が確定すれば損害賠償を求める訴訟を起こす可能性がある。

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