ドイツの検察当局は15日、フォルクスワーゲン(VW)グループのディーゼル車排ガス不正問題に絡んで、高級車子会社アウディに立ち入り捜査を実施した。独当局の捜査対象はこれまで、親会社VWに限られていたが、アウディにも拡大したことになる。
立ち入り捜査はアルディのインゴルシュタット本社やVW本社など国内の複数の拠点を対象に実施された。VWが真相究明のための調査を依頼した米法律事務所ジョーンズ・デイの独拠点も対象となった。
ミュンヘン検察の発表によると、捜査は2009年から15年にかけて米国で販売された3リットルエンジン搭載のディーゼル車およそ8万台をめぐるもの。同エンジンはアウディが開発したもので、アウディ車のほか、VWブランド乗用車とポルシェのモデルに搭載されている。
検察当局は同エンジンに不正なソフトウエアを搭載したほか、その事実を伏せて車両を米国の消費者に販売したことを問題視し、詐欺と違法広告の容疑で捜査を進めている。現在のところ容疑者を特定していない。
欧州で販売された同エンジン搭載車は捜査の対象となっていない。米国で販売されたVWグループの車両と異なり、台上試験でのみ排ガス浄化装置が適正に働くように設定された違法ソフトが搭載されていなかったためだ。
排ガス不正問題の発覚(15年9月)からこれまで独検察当局がアウディを捜査対象から外してきたのは、容疑が不十分だったため。この問題で独自に捜査を進めていた米当局は独当局の協力要請に応じなかったとみられる。
米司法省は1月に公表した文書で、アウディが違法性を知りながら米国で販売した3リットルディーゼル車に不正ソフトを搭載したほか、関連書類を従業員が破棄していた事実を明らかにした。独検察当局はこれを根拠にアウディに対する捜査を開始。今回の立ち入り捜査を実施した。押収した書類をもとに3リットルエンジンの不正ソフトを誰が開発したのか、書類の破棄に誰が関与したのかなどを解明する考えだ。