英政府は20日、メイ首相がEUに対して、29日に離脱を正式通告すると発表した。これを受けてEUのトゥスク大統領(欧州理事会常任議長)は21日、英国を除く加盟27カ国が4月29日に特別首脳会議を開き、EU側の離脱交渉方針を決めることを明らかにした。
英議会は13日、政府にEU離脱を通告する権限を与える法案を可決した。これを受けて英政府は20日、バロー駐EU大使を通じて、トゥスク大統領(欧州理事会常任議長)に離脱を29日に通告することを伝えた。
英国を除く27カ国は、離脱交渉にどのような方針で臨むかを決めた上で、交渉を開始する。トゥスク大統領は離脱通告を受けてから48時間以内に同方針の概要を各国に提示する予定。27カ国は首脳会議で同方針を採択することになる。
この首脳会議は当初、4月6、7日に開かれると目されていた。交渉方針の採択が同月末となることで、離脱交渉の開始は早くても5月中旬となる見込み。6月にずれ込むとの見方も出ている。
離脱交渉は原則2年間。EUと英国は2019年3月末までの合意を目指して協議を進める。英国のデービスEU離脱担当相は20日発表した声明で、「我が国は英国のこの世代にとって、最も重要な交渉に臨もうとしている」と述べた。
メイ首相は1月に行った演説で、EU離脱に関する政府の基本方針を発表。EU単一市場残留より移民制限を優先する意向を表明した。ただし、EUと包括的な自由貿易協定(FTA)を結び、離脱後も単一市場に可能な限りアクセスできるようにするという戦略を描いている。しかし、EU側は「いいとこ取り」は許さないという立場だ。英国が約束していたEU予算への最大600億ユーロの拠出をめぐる対立も予想され、交渉が難航するのは必至の情勢だ。