日・EU首脳会談、EPAの年内大枠合意で一致

安倍晋三首相は21日、ブリュッセルのEU本部でトゥスク欧州理事会常任議長(EU大統領)、ユンケル欧州委員長と会談し、日本・EU間の経済連携協定(EPA)について、年内の大枠合意を目指して交渉を加速させることで一致した。米トランプ政権の誕生などで保護主義的な動きが広がるなか、日本とEUが中心となって自由貿易を推進する方針を確認した。

安倍首相は共同記者会見で「日本と欧州は米国とも協力して、自由貿易の旗を高く揚げなければならない」と強調。EPA交渉について「できる限り早期にEUとの大筋合意を目指す。EPAの交渉妥結が世界にとって自由貿易の象徴になる」と述べた。とユンケル委員長は「交渉には積み残しがあり、難しい点もあるが、年内に克服できると確信している」と発言。トゥスク大統領も「協定締結は近いと信じている」と語った。

日本とEUは2013年4月にEPA交渉を開始した。双方は16年末までの合意を目指していたが、関税交渉などで調整がつかず、17年に持ち越している。主な争点としては、日本側はEUが課している10%の自動車関税の撤廃を要求。一方、EUはチーズや豚肉をはじめとする農産品や加工食品の関税の引き下げや、鉄道など公共サービス市場の開放など求めている。

欧州委によると、日本とEUは4月に東京で次回の交渉会合を開くことで合意した。EPAの早期締結に向け、今後の交渉方針について意見交換する見通しだ。双方は今回、年内の大枠合意を目指す方針を確認したが、欧米メディアによると「日本側が全面的にEUの要求に応じない限り、日本車に対する関税撤廃が実現することはない」(EU高官)といった情報もあり、交渉の行方は予断を許さない。

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