欧州委がフェイスブックに罰金、買収めぐる情報提供めぐり

欧州委員会は18日、米フェイスブックがメッセージアプリ大手ワッツアップを買収した際、同委に不正確な情報を提供したとして、1億1,000万ユーロの罰金を科したと発表した。EUの合併規則(2004年施行)は買収の承認審査にあたり、企業に正確な情報を提供するよう義務付けており、違反した場合は世界における売上高の最大1%に相当する罰金を科される可能性がある。今回の決定は、欧州委が同規則を適用した最初のケースとなった。

フェイスブックは2014年8月にワッツアップの買収計画を欧州委に届け出た際、両サービスのユーザーアカウントを自動的に照合することはできないと説明していた。欧州委はフェイスブックから提出された一連の情報をもとに、買収によって欧州のコミュニケーションアプリ市場で競争が阻害される恐れはないと判断し、同年10月に両社の取引を無条件で承認した。

しかし、ワッツアップは昨年8月、関連性の高い広告表示を可能にするなどサービス向上を図るため、ワッツアップユーザーの電話番号をフェイスブックのユーザーIDとリンクさせると発表した。これを受けて欧州委が改めて調査を行ったところ、14年時点で両サービス間でユーザー情報の共有が技術的に可能だったことが判明。フェイスブックが欧州委に不正確または誤解を招く情報を提供し、合併規則が定める義務に違反した可能性があるとして、昨年12月に異議告知書を送付し、同社と協議を進めていた。

欧州委は今回の措置によって買収の承認自体に影響が及ぶことはないと説明している。ベステアー委員(競争政策担当)は「今回の決定は、EU合併規則のあらゆる規定を順守しなければならないという企業への明確なメッセージだ。フェイスブックには相応かつ抑止力のある罰金を科す」と述べた。

フェイスブックは声明を発表し、欧州委に誤った情報を提供したのは「意図的ではなかった」と釈明。「欧州委は今回の措置が買収承認の判断に影響しないことを確認しており、本日を以てこの件は決着した」とコメントしている。

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