欧州委員会は15日、南アフリカのジェネリック薬(後発医薬品)大手アスペン・ファーマケアが欧州市場で、抗がん剤の価格をEU競争法に抵触する不当な高値に設定している疑いがあるとして、調査を開始したことを明らかにした。製薬会社の同様の問題でEUが調査に乗り出すのは初となる。
欧州委が問題視しているのは、白血病など血液がんの治療に使われるクロラムブシル、メルファラン、チオグアニン、ブスルファンの価格。アスペンが独占的地位を悪用し、欧州市場で数百パーセントもの値上げを行った疑いが浮上している。一部の国では対象製品の販売を中止し、値上げを受け入れるよう圧力をかけたという。
欧州委のベステアー委員(競争政策担当)は、製薬会社には利益を追求する権利があるものの、人の命を救う抗がん剤で「いきなり数百パーセント値上げするとなると、看過できない」として、是正に乗り出す構えを示した。
同問題をめぐっては、イタリアの競争当局が2016年9月、アスペンがブスルファンなどを1,500%値上げしたのは不当として、500万ユーロの制裁金支払いを命じた経緯がある。欧州委は欧州経済領域(EEA)のイタリアを除く30カ国で調査を進める。