フィアットの排ガス不正問題、欧州委がイタリアに対する是正手続き開始

欧州委員会は17日、伊フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)の排ガス不正疑惑をめぐり、イタリア当局が適切に対応していないのはEU規則に抵触するとして、同国に対する是正手続きを開始した。イタリア政府は2カ月以内に是正策を提示する必要がある。欧州委が不十分と判断した場合、欧州司法裁判所に提訴する可能性がある。

2015年9月に排ガス不正が発覚した独フォルクスワーゲン(VW)に続き、FCAも排ガス規制を逃れるため、一部ディーゼル車に「ディフィート・デバイス(無効化装置)」と呼ばれる違法ソフトを搭載し、基準値を超える有害物質を排出していた疑いがもたれている。同装置は検査時だけ窒素酸化物(NOx)などの排ガス低減機能を稼働させる仕組みになっており、走行時の排出量は検査時の約40倍に上るとされる。EUはこうした違法ソフトの使用を禁止しており、各国当局は自動車メーカーに同ルールを順守させ、違反行為を厳しく取り締まる義務を負う。

欧州委はVWの不正発覚を受け、加盟国に承認済みの車両に違法ソフトが搭載されていないかどうか調査を行い、違反メーカーに対して制裁措置を講じるよう求めている。昨年12月には加盟国がVWの不正問題に十分に対応していないとして、ドイツや英国など7カ国に対する違反手続きを開始した。

欧州委はイタリア当局がディフィート・デバイスの存在を知りながら、FCAに是正を命じるなど適切に対処していないと指摘。イタリア側から十分な回答が得られない場合は法的手続きをとると警告している。

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