伊アトランティア、アベルティスに買収提案

イタリアの運輸インフラ会社アトランティアは15日、スペインの有料道路運営会社アベルティスに163億ユーロでの買収を提案したと発表した。実現すれば世界最大の有料道路運営会社が誕生する。

アトランティアの提案は、アベルティスの全株式を現金で取得するというもの。1株当たりの買い取り価格は16.5ユーロで、前営業日(12日)の終値を0.3%上回る水準となる。さらにアトランティアは、アベルティスの筆頭株主で、スペイン大手銀行カイシャバンクの親会社であるクリテリアの意向に配慮して、株式交換方式での買収にも応じる。

アトランティアは伊ベネトン一族系の企業。イタリア国内に集中している事業基盤を拡大するため、アベルティスの買収に乗り出した。両社の統合で誕生する新会社はイタリア、スペインのほかフランス、ブラジル、チリなど19カ国で総延長約14万キロメートルの道路を運営する同分野で世界最大の企業となる。

両社は2006年に合併で合意したが、イタリア政府がアベルティスによる事実上の買収となることに反発したため、実現に至らなかった経緯がある。

アベルティスは大株主が態度を決めるまで、買収を受け入れるかどうかを明らかにしない方針を打ち出している。しかし、アトランティアは同社経営陣と水面下で協議を行った上で買収を提案したことから、アベルティス側は前向きのもようだ。

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