EU・中国首脳会議、パリ協定推進で合意

EUと中国は2日、ブリュッセルで首脳会議を開き、地球温暖化対策の新たな国際的枠組み「パリ協定」の実行に向けて協調していくことで合意した。米国が協定からの離脱を表明したことで、世界的な取り組みへの機運の低下が懸念されるなか、EUと中国が連携を強化して完全履行を目指す姿勢をアピールした。ただ、通商問題では双方の溝が埋まらず、共同声明の発表は見送られた。

EUのトゥスク大統領は中国の李克強首相との会談後の共同記者会見で、「EUと中国は未来の世代への連帯と地球への責任を示した」と表明。「米国がいてもいなくても、気候変動との戦いは続く」と述べ、パリ協定の実行に向けて双方が協力関係を強化することで一致したと強調した。一方、ユンケル欧州委員長は通商分野での隔たりについて、「立場の違いは狭まりつつあるが、まだ溝は埋まっていない」と発言。EUが問題視する中国による鉄鋼の過剰生産をめぐる議論は平行性をたどったことを明らかにした。

中国は世界貿易機関(WTO)での扱いに不満を表明している。中国は2001年にWTOに加盟した際の議定書で、加盟から15年間は「非市場経済国」として扱われることを受け入れた。同規定が昨年12月11日付で失効したため、中国政府はEUなどに対し、「市場経済国」としての地位を認めるよう要求した。しかし、市場経済国に認定した場合、中国からの安価な輸入品に対して反ダンピング措置を発動することが困難になり、自国の製造業者はより一層厳しい競争にさらされることになる。このためEU、米国、日本はさらなる市場開放が必要として認定を見送っており、中国はこれを受けてEUと米国をWTOに提訴している。

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