欧州証券市場監督機構(ESMA)は1日、米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスがEUの信用格付け機関(CRA)規則に違反したとして、124万ユーロの罰金支払いを命じたと発表した。ムーディーズは調査結果を受け、欧州委の命令に従う意向を示している。
制裁の対象となったのは、ムーディーズのドイツ部門と英国部門が2011年6月-13年12月にかけて、EU機関を含む9つの組織に付与した計19件の格付け。この中にはEU本体のほか、欧州投資銀行(EIB)、欧州投資基金(EIF)、欧州安定メカニズム(ESM)、欧州金融安定ファシリティ(EFSF)などが含まれている。
ESMAはこれら19件の格付けに際してムーディーズが公表した情報はプレスリリースのみで、格付けの根拠について投資家に十分な情報提供を行わなかったと指摘。格付けの手法についても開示義務を怠ったとしている。
ムーディーズの広報担当は「ムーディーズによる格付けの質や手法が問題視されているわけではない。ESMAは当社が再発防止に向けて2013年に適切な手段を講じた点も理解している」と強調。罰金支払いに応じることで問題に決着がつくことを歓迎するとコメントした。
EU市場で活動する格付け会社をめぐっては、フィッチ・レーティングスも昨年、ESMAから138万ユーロの罰金支払いを命じられている。