ドイツのアレクサンダー・ドブリント交通相は1日、フォルクスワーゲン(VW)の高級車子会社アウディが欧州で販売したディーゼル乗用車に窒素酸化物(NOx)の排出量を操作する違法なソフトウエアが搭載されていたことを明らかにした。こうしたソフトの搭載車はこれまでNOxの排出規制が厳しい米国で販売したモデルに限られるとみられていたが、欧州で販売した一部のモデルにも投入されていたことが発覚した。交通省はVWグループの他のモデルにもそうしたソフトが搭載されていないかを今後、調査していく。
不正ソフトが見つかったのは大型車「A7」と「A8」の6気筒、8気筒モデルで、年式は2009~2013。総数は2万4,000台で、そのうち1万4,000台はドイツ国内、残り1万台は他の欧州諸国で登録されている。
不正ソフトはハンドルの回転角度をもとに台上試験と路上走行の違いを認識し、台上試験と認識した場合にのみ排ガス処理システムが適切に作動する。ハンドルを15度以上、切った場合は路上走行と認識し、最大で許容値の2倍のNOxを排出する。
交通省傘下の連邦陸運局(KBA)が5月31日に突き止めた。ドブリント交通相はこれを受けて1日、VWのマティアス・ミュラー社長を呼びつけるとともに、不正ソフトを搭載した経緯の解明と速やかな対応を要求した。
アウディは7月にリコール(無料の回収・修理)を開始する予定。ソフトを入れ替えるだけのため、修理の所要時間は1台当たり30分程度にとどまる見通しという。