EU首脳会議、防衛協力の強化で一致

EUは22、23日に開いた首脳会議で、加盟国の防衛協力強化を推進する方針で一致した。新たに常設の軍事協力の枠組みを設け、防衛面の連携に積極的な国が自発的に参加できる仕組みを構築する。また、欧州委員会が提案しているEU予算や加盟国の拠出金で「欧州防衛基金」を創設することでも合意した。

常設の軍事協力の枠組みは2009年に発効したEU基本条約(リスボン条約)に盛り込まれたが、EU28カ国のうち22カ国が加盟する北大西洋条約機構(NATO)と役割が重複するとして、英国が創設に反対したことで議論が停滞していた。しかし、英国のEU離脱決定や欧州の防衛に消極的な米トランプ政権の誕生など、欧州の安全保障をめぐる情勢が不透明さを増すなか、ドイツとフランスの主導で急速に議論が加速した。

EUは常設軍を持たないため、これまでは個々のケースについて各国の合意をもとに部隊が編成されていた。新たな枠組みの中身は今後協議するが、今回の合意により、EUは共通防衛政策で「歴史的な一歩」(トゥスク大統領)を踏み出すことになる。

一方、欧州防衛基金は加盟国の財政状況が厳しいなか、装備の調達やハイテク兵器などの研究開発を共同で行い、EU内の防衛協力を深めるのが狙い。年内に基金を立ち上げ、2021年からは年間55億ユーロ規模に拡大することを目指す。首脳会議は防衛基金の構想について、「EUが掲げる高い水準の目標達成の鍵を握る」と指摘し、早期実現を目指す方針を総括文書に盛り込んだ。

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