租税回避対策でタックスプランニングの報告義務付けへ、欧州委提案

欧州委員会は21日、域内の企業および個人に国境を越えたタックスプランニング(節税計画)について助言を与える税理士や会計士などに対し、税務当局への報告を義務付ける新たな法案を発表した。多国籍企業による課税逃れを防止する取り組みの一環で、税の透明性を高めて強引な節税対策を厳しくチェックするのが狙い。閣僚理事会と欧州議会の承認を経て、2019年1月の新ルール導入を目指す。

タックスプランニングは将来の法人税などの負担額と課税所得を想定したうえで、税制の仕組みや特徴を考慮し、無駄な税金を払わないで済むための節税対策を策定すること。タックスプランニング自体は合法的な行為だが、強引な節税対策や税制を悪用する慣行は国の税収減を招くことになる。

このため欧州委は税理士などに当局への報告義務を負わせることで節税計画の透明性を高め、課税逃れを防止する必要があると判断。多国籍企業に国別報告の提出を義務付け、加盟国間で自動的に情報交換する制度の導入を定めた「課税分野の行政協力に関する指令(DAC)」の改正案として、新たにタックスプランニングに関する報告の義務化を提案した。

法案によると、報告義務の対象となるのは国の税収減につながる可能性のあるタックスプランニング。具体的には税優遇制度が導入されている国への租税債務の移転や、税務ガバナンスが国際基準を満たしていない国の税制を利用した節税策などがこれに該当する。国境をまたぐタックスプランニングを策定した税務アドバイザーがEU域外に拠点を置く場合や、守秘義務に拘束される場合は、助言を受けた企業または個人が報告義務を負う。

EU加盟国は一元管理されたデータベースを通じてタックスプランニングに関する情報を自動的に交換・共有し、租税回避のリスクがある場合は連携して必要な措置を講じる。罰則について各国当局に裁量権が与えられる。

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